
金理有
華護眼坊
2014
23×40×38cm
陶器
日本人の父と韓国人の母のもと、1980年に大阪府に生まれ、2006 年に大阪芸術大学大学院芸術制作研究科修士課程修了した金理有(きむ りゆ)は、現代日本を代表する若手陶芸家の一人です。表面を埋め尽くす幾何学模様の溝や、メタリックに光る黒や燻銀色の釉、そして眼光鋭い「ひとつ目」。これまでの陶器にはない金のこうした独自の作風は陶芸界にとどまらず、「ヨコハマトリエンナーレ 2011」や自らがキュレーションを担当した「ARTs of JOMON」(hpgrp NY)等、数多くの個展やグループ展に出品し、現代美術界からも高い評価を得てきました。
大学時代から長く陶芸を学んできた金は、縄文土器が持つ生命力に強く惹かれると同時に、ヒップホップをはじめ、グラフィティ、タトゥー、ラップやヒューマンビートボックス、DJ、SF映画など、同時代のストリートカルチャーにも大きく影響を受けたと言います。特に、毎日のように通ったクラブでの光景は「日常生活の抑圧を洗い流す祭祀空間で、パフォーマーは特殊な技芸を披露する巫女のよう」に見えていたようです。土器そのものが生命体であるかのような古代的な土着性や、陶器とは思えぬメタリックで工業的な近未来性が一つの作品内に融合されている様は、こうした金の実体験から生まれ、強い説得力をもって観る者に迫ります。