
Sablo Mikawa
FAMILY PHOTO
2020
16.0cm×22.8cm×1.5cm
Sablo Mikawaの新シリーズ"FAMILY HISTORY"。実在しないデフォルメされた肖像画はキャラクターの性格や生活環境や歴史などそのストーリーをでっち上げるところから始まります。Sabloは以前より肖像画を手がけていましたが第一に鑑賞者から"モデルはいるのか?"という問いを投げかけられます。その回答としてモデルは存在しないとただ伝えるのではなく、存在する人間として脳内でストーリーを描きます。油絵という時間のかかる技法でもってキャンバスに向かっている時、そのストーリーはますますレイヤーと解像度が増していく。似顔絵のようなライトさと歴史としての肖像画、その両面を持った作品を2020年に生きる1人の日本人の作家が描き出しています。この展示は架空の家族の肖像です。もっとも大きいペインティングである"GRANPA"はこの家の持ち主。大戦を経て終戦を迎えた雪山で炭鉱作業員としての人生をスタートさせました。息子を授かり、その息子の3人の子供とともに生活していました。"GRANPA"の死後家族はバラバラになりましたが、孫のうちの長男が成長しこの家に戻ってきました。そこには彼女の写真や、昔の家族写真、そして彼の飼い犬の写真が飾られています。これはあくまでも設定です。作品を眺めていると声や性格、温度や匂いなどその場所に存在しない情報が頭の中で膨らんでゆきそれぞれのストーリーが出来上がります。