
篠崎裕美子
Doggy SAGA
2019
21×25×17cm
陶、ガラス
篠崎裕美子は1987年福岡県に生まれ、2011年に大阪芸術大学大学院修士課程を修了した陶芸家です。独特な造形手法により現代社会を表現するその世界観は、陶芸のジャンルを越えた現代表現として高く評価されています。篠崎はこれまでに、2017年SNOW Contemporaryでの個展「Red Data」をはじめ、「現代工芸への視点 装飾の力」(2009/東京国立近代美術館工芸館 東京)、「Red Bull Music Academy Tokyo」(2014/Red Bull本社 東京)など、美術館やギャラリー、オフィスや百貨店など様々な会場にて数々の意欲的なグループ展に参加してきました。
一見するとお菓子やおもちゃを連想させるカラフルでファンシーな表現でありながら、ひび割れや気泡のような表皮をまとった質感は、陶器でありながら生々しく有機的できわめて触覚的です。また、キッチュな作風の中にも現代社会が抱える問題や現象が潜んでいます。インターネットにおいて氾濫しては消滅するポルノやアニメのイメージや、生物、ウィルス、細胞など人間の活動によって絶滅に追いやられた自然物を、陶やガラスなど半永久的な素材を使用した自らの陶芸作品に取り込むことで、それらが「存在していた」という証を打ち立て、永続的な「生命」をもたらしているのです。